【完全ガイド】レーシングカート用ヘルメットの規格を徹底解説!


「レーシングカートを始めたい!」
「レースに出てみたい!」
風を切りながら地面スレスレを疾走するレーシングカートは、モータポーツの入門として、また本格的な競技として多くの人々を魅了しています。
そんなレーシングカートを楽しむ上で、ドライビングテクニックと同じくらい、いや、それ以上に重要なのが安全装備です。
その中でも、万が一のクラッシュ時にあなたの頭部を守るヘルメットは、最も重要なアイテムと言えるでしょう。
しかし、一言でヘルメットと言っても、バイク用や工事用など様々な種類があります。
レーシングカートでは、その速度と環境に適した、定められた「規格」をクリアしたヘルメットを正しく選ぶ必要があります。
この記事では、レーシングカート用ヘルメットに求められる規格の種類や違い、そして自分の目的に合ったヘルメットの選び方まで、どこよりも詳しく解説します。
目次
なぜレーシングカートに専用規格のヘルメットが必要なの?

まず、なぜヘルメットの「規格」がそれほど重要なのでしょうか。その理由は大きく分けて2つあります。
安全性の確保
レーシングカートは、体感速度が時速100kmを超えることも珍しくありません。
万が一のスピンやクラッシュ、他車との接触時に頭部へ加わる衝撃は計り知れません。
ヘルメットの規格とは、こうした厳しい衝撃に耐えうる性能を持っていることを証明する安全基準なのです。
規格を満たさないヘルメットでは、いざという時に頭部を十分に保護できない可能性があります。
ルールとレギュレーション
趣味の走行から本格的なレースまで、ほとんどのカート場や競技会では、参加者が守るべきルール(レギュレーション)が定められています。
その中で、着用できるヘルメットの規格が指定されているのが一般的です。
指定外のヘルメットでは、そもそも走行を許可されない、またはレースへの出場が認められません。
レーシングカート用ヘルメットの主要な規格
日本国内のレーシングカートシーンで主に求められる規格は、**「SNELL(スネル)規格」と、それをJAFが公認した「JAF公認」**のものです。
それぞれの規格について詳しく見ていきましょう。
JAF公認ヘルメット
JAF(日本自動車連盟)は、日本のモータースポーツを統括する団体です。
JAFが主催・公認する公式レースやイベントに参加するためには、JAFが公認したヘルメットの着用が義務付けられています。
- 特徴: JAFが安全性を認めた特定のヘルメットモデルに与えられます。ヘルメットに貼付されたJAF公認シールがその証です。
- 確認方法: ヘルメットの後頭部や内装に貼られた、JAFのロゴが入ったステッカーで確認できます。
SNELL規格(スネル規格)
世界で最も厳しい安全基準の一つとされるのが、非営利団体「スネル記念財団」が定めるSNELL規格です。
衝撃吸収性や耐貫通性など、非常に厳格なテストをクリアした製品のみが認証されます。
・特徴:より高い安全性を求め、5年ごとに基準が見直されます。(例: K2015 → K2020)
・四輪用とカート用がある:
SA規格 (Special Application): 四輪レース用。難燃性の内装材が義務付けられています。
K規格 (Karting): カートレース用。SA規格ほどの難燃性は求められませんが、広い視野を確保できるよう開口部が広く設計されています。
JIS規格(日本産業規格)
主に国内で販売されているバイク用ヘルメットに適用される規格です。
PSCマークと共に表示されていることが多く、街乗りのバイク用としては十分な安全性を持ちます。
カートでの使用: レンタルカート施設など、一部の場所ではJIS規格のバイク用ヘルメット(フルフェイスタイプ)で走行可能な場合があります。
しかし、スポーツ走行やレースでは認められないケースがほとんどです。
【目的別】どの規格を選べばいい?

どの規格のヘルメットを選べば良いかは、あなたがどのようにレーシングカートを楽しみたいかによって変わります。
レンタルカートを楽しむ場合
手ぶらで気軽に楽しめるレンタルカートの場合、多くはヘルメットのレンタルサービスが用意されています。
- マイヘルメットを用意する場合: 走行前に必ずカート場のレギュレーションを確認しましょう。
JIS規格以上のフルフェイスヘルメット」といった指定が一般的です。
衛生面やフィット感を考えると、自分のヘルメットを用意するのがおすすめです。
スポーツ走行やレースに参加する場合
マイカートでのスポーツ走行や、JAF公認レースへの出場を考えている場合は、より厳格なヘルメット選びが求められます。
- 必須となる規格: **「SNELL規格(SA2020やK2020など)を取得し、かつJAF公認シールが貼付されたヘルメット」**を選んでおけば間違いありません。
- 事前の確認: 参加したいレースやイベントの特別規則書(レギュレーションブック)を必ず確認し、指定された規格を正確に把握することが最も重要です。
子供(ジュニア)用のヘルメット規格
子供の体格や筋力は大人と大きく異なります。特に首への負担を考慮し、ジュニアドライバー向けには特別な規格が存在します。
SNELL-FIA CMR/CMS規格:
- CMR規格: 15歳未満のドライバーを対象とした、非常に軽量なカーボンファイバー製ヘルメットの規格。
- CMS規格: 12歳未満のドライバーを対象とした、さらに軽量なヘルメットの規格。
- 重要性: これらの規格は、安全性を確保しつつ、成長過程にある子供の身体的負担を最小限に抑えるために設計されています。
年齢や参加クラスに応じて、これらのジュニア専用ヘルメットの使用が義務付けられている場合がほとんどです。
【結論】レーシングカートで使うなら、どの規格が一番おすすめ?

目的によって最適な規格は異なりますが、**「これから本格的にカートを始めたい」「レース出場も視野に入れている」**という方であれば、**SNELL K規格(最新のK2020など)**を選ぶのが最もおすすめです。
理由
- JAF公認レースに対応: ほとんどのカートレースのレギュレーションをクリアできます。
- カートに最適化された設計: 広い視野角が確保されており、ドライビングに集中できます。
- 豊富な選択肢: 国内外の主要ヘルメットメーカーから多くのモデルが販売されており、デザインやフィット感で選びやすいです。
もちろん、趣味の走行がメインであればJIS規格のフルフェイスでも十分な場合はありますが、将来的なステップアップや、より高い安全性を考慮するなら、最初からSNELL K規格のヘルメットを選んでおくのが賢明な選択と言えるでしょう。
規格以外にも重要!ヘルメット選びの5つのポイント

規格をクリアしていることは大前提ですが、さらに快適で安全なカートライフを送るために、以下のポイントもチェックしましょう。
① 正しいサイズとフィット感
ヘルメットの性能を最大限に発揮させるには、頭にぴったりとフィットしていることが不可欠です。
- 計測: まずはメジャーで頭囲(眉の上から後頭部の一番出っ張っている部分)を測り、サイズの目安をつけます。
- 試着: 必ず実際に試着しましょう。被った際に、頭全体が均等にホールドされ、ヘルメットを掴んで動かしても頭がグラつかないものを選びます。一部だけが強く当たる、痛みを感じるものはNGです。
② ヘルメットの種類(フルフェイスが基本)
顔全体を保護するため、レーシングカートではチンガード(顎の部分)まで一体となったフルフェイスタイプが必須です。ジェットヘルメットなど顔が露出するタイプは使用できません。
③ 帽体の素材
ヘルメットの帽体(外殻)には様々な素材が使われており、重さや価格に影響します。
- FRP (繊維強化プラスチック): 一般的なヘルメットに多く使われる、コストと性能のバランスに優れた素材です。
- カーボンファイバー: 軽量かつ非常に高強度な素材。長時間の走行でも首への負担が少ないですが、高価になる傾向があります。
④ 有効期限
ヘルメットには安全に使用できる有効期限があります。
- SNELL規格: ヘルメットに貼られたラベルに製造年月日が記載されており、その製造年から10年間が有効期限とされています。
- JAF公認: JAFの競技規則では、SNELLのSA/K規格は規格発行年から10年間有効と定められています。(例: K2020規格は2030年末まで有効)
- 見た目に傷がなくても、内部の衝撃吸収ライナーは経年劣化します。安全のため、有効期限を守り、定期的に買い替えることが重要です。
⑤ オプションパーツ
バイザーやベンチレーションなど、快適性を高める機能もチェックしましょう。
- バイザー: 天候に合わせてクリア、スモーク、ミラーなどを交換できます。
- ベンチレーション: ヘルメット内部の熱や湿気を排出し、蒸れを防ぎ快適な状態を保ちます。
【厳選】レーシングカートにおすすめのヘルメット3選

どのヘルメットを選べばいいか迷ってしまう方のために、実績と人気を兼ね備えたおすすめモデルを3つご紹介します。
1. 【定番の安心感】Arai SK-6 PED
[画像:Arai SK-6 PED ヘルメット] 日本が世界に誇るヘルメットメーカー、Arai(アライ)のカート専用モデルです。
- 特徴: 日本人の頭の形にフィットしやすい内装設計で、多くのカートドライバーから絶大な支持を得ています。高い安全性はもちろん、パーツの入手しやすさも魅力。まさに「迷ったらコレ」と言える定番ヘルメットです。
- 規格: SNELL K2020
2. 【F1ドライバーも愛用】BELL KC7-CMR
[画像:BELL KC7-CMR ヘルメット] F1をはじめとする世界のトップカテゴリーで高いシェアを誇るBELL(ベル)のジュニア向けモデル。
- 特徴: ジュニア向けのCMR規格モデルですが、その軽さとデザイン性の高さから、サイズが合えば大人のドライバーにも人気です。特に首への負担を軽減したい方におすすめ。豊富なカラーリングやF1ドライバーのレプリカモデルも存在します。
- 規格: SNELL-FIA CMR2016
3. 【超軽量・高機能】Stilo ST5 CMR
[画像:Stilo ST5 CMR ヘルメット] イタリアのヘルメットブランドStilo(スティーロ)。非常に軽量なヘルメットを作るメーカーとして知られています。
- 特徴: 角張った特徴的なデザインと、世界トップクラスの軽さが魅力。こちらもジュニア向けのCMR規格ですが、大人でも愛用者が多いモデルです。長時間のレースでも疲れにくいヘルメットを探している方には最適の選択肢の一つです。
- 規格: SNELL-FIA CMR2016
よくある質問(Q&A)

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バイク用のヘルメットはカートで使えますか?
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レンタルカート施設など、一部ではJIS規格のバイク用フルフェイスヘルメットが使用可能な場合があります。
しかし、スポーツ走行や公式レースでは、安全基準の違いからSNELL規格(KまたはSA)が求められることがほとんどです。
特に、カート用(K規格)はバイク用と比べて上下の視界が広く設計されているため、よりドライビングに適しています。
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ヘルメットに傷がついたら、もう使えませんか?
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表面の塗装が剥げる程度の浅い傷であれば問題ないことが多いですが、
帽体に達するような深い傷や、一度でも強い衝撃を受けたヘルメットは、内部の衝撃吸収ライナーが損傷している可能性があるため、
使用を中止し、買い替えることを強く推奨します。
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四輪用のSA規格とカート用のK規格、どちらが良いですか?
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表面の塗装が剥げる程度の浅い傷であれば問題ないことが多いですが、帽体に達するような深い傷や、
一度でも強い衝撃を受けたヘルメットは、内部の衝撃吸収ライナーが損傷している可能性があるため、
使用を中止し、買い替えることを強く推奨します。
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四輪用のSA規格とカート用のK規格、どちらが良いですか?
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カートレースのみに参加する場合は、カートに最適化されたK規格がおすすめです。
K規格は開口部が広く、視界が広いのが特徴です。
一方、将来的に四輪レースへのステップアップも考えている場合は、難燃性素材が使用されているSA規格のヘルメットを選んでおくと、
買い替える必要がなく経済的です。
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中古のヘルメットを使っても大丈夫ですか?
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安全上の観点から、中古ヘルメットの使用はおすすめできません。
外見からは分からなくても、過去に衝撃を受けていたり、内部が経年劣化していたりする可能性があるためです。
自分の命を守る大切な装備ですので、必ず新品を購入するようにしましょう。
まとめ:安全なカートライフは適切な規格のヘルメット選びから
レーシングカート用ヘルメットは、あなたの命を守る最も重要な装備です。この記事のポイントをもう一度おさらいしましょう。
- 安全性とルールのために、規格に適合したヘルメットは必須。
- レース出場を目指すなら「SNELL K規格 + JAF公認」が基本。
- レンタルカートなら、事前に施設のレギュレーションを確認。
- 子供には、身体への負担が少ないジュニア専用規格(CMR/CMS)を選ぶ。
- 規格だけでなく、正しいサイズとフィット感が性能を最大限に引き出す。
自分の走行目的とルールをしっかりと確認し、必ず試着をして最適なヘルメットを選んでください。
正しいヘルメットが、あなたのレーシングカートライフをより安全で、より楽しいものにしてくれるはずです。
レーシングカート用ヘルメットは、あなたの命を守る最も重要な装備です。
この記事のポイントをもう一度おさらいしましょう。


